現在住宅に施されている外壁の塗装に劣化の症状が見られるようになってきた場合、外壁の再塗装をおこなう必要があります。
再塗装をおこなわずに放置しているとますます外壁の劣化が進んでしまいますし、最悪の場合、住宅の内部にまで影響が出てしまうので、早急な対応が必要です。
外壁の再塗装をおこなう場合、多くの方が費用を気にする傾向にありますが、費用と同じぐらい気にしなくてはいけないのが「耐用年数」についてです。
そこでこの記事では、外壁塗装の耐用年数について詳しく解説していきたいと思います。
外壁塗装が劣化してしまう理由について解説した上で、外壁塗装の耐用年数に関係する要素や外壁塗装の耐用年数を長くする方法などについて解説していくので、外壁塗装を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
外壁塗装の耐用年数とは
住宅の外壁塗装には、「住宅の外壁を保護する」という大切な役割がありますが、その役割を問題なく果たすことができる期間のことを耐用年数と言います。
耐用年数が長ければ長いほど外壁の再塗装などのメンテナンスの回数が減るため、メンテナンス費用も少なくて済みます。
逆に耐用年数が短いと頻繁にメンテンスをおこなわなくてはいけなくなるため、メンテナンスにたくさんのお金がかかってしまうことになるわけです。
住宅の外壁の耐用年数には、
- 建物自体の耐用年数
- 外壁材の耐用年数
- 塗料の耐用年数
という3つの要素が大きく関係してきます。
1. 建物自体の耐用年数
住宅の外壁の耐用年数に大きく関係してくる要素の1つ目が、建物自体の耐用年数です。
住宅の構造と耐用年数については以下の表のとおりです。
住宅の構造 | 耐用年数 |
木骨モルタル造 | 20年 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
れんが造 | 38年 |
石造 | 38年 |
ブロック造 | 38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
これは国の機関である国税庁が算出している数値なので、かなり正確な数値となっています。
とはいえ、この耐用年数を過ぎたからといってすぐ住めなくなるというようなものではなく、リフォームや建て替え、住み替えを考える目安だと考えておいてください。
2. 外壁材の耐用年数
住宅の外壁の耐用年数に大きく関係してくる要素の2つ目が、住宅の外壁に採用されている外壁材の耐用年数です。
あまり知られていませんが、住宅の外壁にはさまざまな外壁材が用いられています。
住宅の外壁に用いられる外壁材と外壁材ごとの耐用年数は以下の表のとおりです。
住宅の外壁材 | 耐用年数 |
モルタル壁 | 30年 |
窒素系サイディングボード | 40年 |
金属系サイディングボード | 40年 |
木質系サイディングボード | 40年 |
樹脂系サイディングボード | 40年 |
ALCボード | 60年 |
コンクリート壁 | 60年以上 |
モルタルというのはセメントと砂を水で混ぜ合わせたもので耐用年数が最も低い外壁材です。
サイディングボードというのは住宅の外壁に貼り付けるタイプの外壁材で、窒素系、金属系、木質系、樹脂系とさまざまな素材でできています。
ALCボードのALCはAutoclaved Lightweight aerated Concreteの略称で、軽量のコンクリートのことを指す言葉です。
軽量ではありますが、コンクリート壁並の耐用年数を誇っています。
また、これらの耐用年数もあくまで目安の数値となりますので、住宅が建っている場所の環境やメンテナンスによって数値が前後することもあります。
3.外壁塗装に用いる塗料の耐用年数
住宅の外壁の耐用年数に大きく関係してくる要素の3つ目が、住宅の外壁に採用される塗料の耐用年数です。
住宅の外壁には先ほど紹介した外壁材が使用されますが、その外壁材の上から塗られるのが、外壁塗装要の塗料です。
外壁の再塗装をおこなう際は外壁材などの下地ごと交換するようなことはほとんどなく、塗料を塗り直すといった方法が取られることがほとんどなので、外壁の再塗装をおこなう際の耐用年数に直接関係してくるのはこの塗料の耐用年数ということになります。
そのため、外壁の再塗装をおこなう際に最も気にしなくてはいけない部分だと言えますね。
外壁塗装に用いられる塗料と塗料ごとの耐用年数は以下の表のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数の目安 |
アクリル塗料 | 5〜7年 |
ウレタン塗料 | 7〜10年 |
シリコン塗料 | 10〜15年 |
ラジカル塗料 | 10〜15年 |
フッ素塗料 | 15〜20年 |
セラミック塗料 | 10〜15年 |
無機塗料 | 10〜25年 |
光触媒塗料 | 10〜20年 |
アクリル塗料やウレタン塗料は単価が安いというメリットがありますが、その他の塗料に比べると耐用年数が短くなってしまいます。
塗料の耐用年数はメーカーや商品によっても異なりますが、定番で人気の高いシリコン塗料と最もグレードの低いアクリル塗料とでは、耐用年数に10年近い差が出ることもあります。
耐用年数が長いということはそれだけ再塗装をおこなう回数が少なくて済むということになるため、外壁塗装に用いる塗料を選ぶときには単純に単価が安いという点だけで選ぶのではなく、単価と耐用年数の長さを比較し、コストパフォーマンスの良い塗料を選ぶことが大切です。
外壁塗装が劣化してしまう理由
外壁に施された塗装は、塗装してから時間が経てば経つほど劣化していってしまうものですが、そもそも外壁塗装はなぜ劣化していってしまうのでしょうか?
住宅の外壁に施された外壁塗装は、常に外気にさらされています。
外気にさらされているということは、太陽の強い紫外線を浴び続けているということです。
紫外線を浴び続けていると塗料の成分に悪い影響を及ぼしてしまうため、外壁塗装の塗料は少しずつ劣化していってしまうわけです。
また、外壁塗装に用いられる塗料は紫外線だけでなく、雨や風、地域によっては雪などにもさらされてしまうものです。
これらの要因により塗料の塗膜面がだんだんと消耗していってしまうため、少しずつではありますが、外壁塗装の塗料は劣化していってしまうわけですね。
劣化した状態をそのまま放置してしまっていると住宅の内部にまで悪影響が出てしまう可能性があるので、外壁塗装が劣化してきたら再塗装をおこなう必要があります。
外壁塗装に使用されている塗料の耐用年数が過ぎているかどうかをチェックする方法
外壁塗装に用いられる塗料は、紫外線や雨、風、雪などによって劣化していくものなので、劣化の症状が見られた場合には再塗装をおこなう必要があると解説してきました。
では、外壁塗装に使用されている塗料が劣化しているかどうかについてはどのような方法でチェックするべきなのでしょうか?
外壁塗装に使用されている塗料が劣化しているかどうかをチェックする方法として定番なのが、チョーキングを確認する方法です。
チョーキングというのは、外壁を手で触った場合、手に白いチョークの粉のようなものがつく現象のことを指す言葉です。
チョーキングは、外壁塗装に用いられている塗料の塗膜が紫外線や雨などによって劣化してしまうことで発生します。
また、塗料の塗膜が剥がれてしまっていたり膨れあがってしまっていたりする場合も、塗料の劣化が考えられます。
この現象が発生してしまっている場合は塗料の劣化がかなり進んでしまっていることが考えられるので、なるべく早く再塗装をおこなうべきです。
塗膜の剥がれや膨れより劣化症状が進んでしまうと、外壁にヒビが入ってしまうこともあります。
ここまで劣化が進んでしまうと住宅内部にまで影響が出てしまっている可能性があるので、早急に再塗装やリフォームをおこなう必要があります。
このように、外壁塗装に用いられる塗料の劣化はさまざまな方法で確認することができるので、まずはこれらの劣化症状が出てしまっていないかを確認してみてください。
外壁塗装の耐用年数をできるだけ長くするための2つのポイント
これから紹介していく3つのポイントを意識することで、外壁塗装をより長持ちさせることができるようになります。
耐用年数が長くなればなるほどメンテンスの手間や費用を節約することができるので、ぜひ意識してみてください。
1. できるだけ耐用年数の長い塗料で再塗装する
外壁塗装をできるだけ長持ちさせたいのであれば、できるだけ耐用年数の長い塗料で塗装をおこなうべきです。
先ほど紹介したように外壁塗装にはさまざまな塗料が用いられ、塗料によって耐用年数が異なります。
塗料の単価は以下の表のとおりですが、
塗料の種類 | 1平米あたりの単価の目安 |
アクリル塗料 | 1,000〜1,300円 |
ウレタン塗料 | 1,600円〜2,000円 |
シリコン塗料 | 2,000円〜3,500円 |
ラジカル塗料 | 2,500〜4,000円 |
フッ素塗料 | 3,000円〜4,500円 |
セラミック塗料 | 5,000〜6,000円 |
無機塗料 | 3,500円〜5,000円 |
光触媒塗料 | 4,000〜5,000円 |
単価が安い塗料ほど耐用年数も短くなってしまいがちです。
外壁塗装にかかる費用は決して安くはないのでついつい単価が安い塗料を選びがちですが、単価の安さだけで塗料を選んでしまうとメンテンスにコストがかかってしまい、長い目で見ると逆に高くついてしまうこともあります。
ですので、外壁塗装に用いる塗料を選ぶときには耐用年数の長い塗料を選ぶようにしましょう。
耐用年数も長く単価もそこまで高くない塗料としてシリコン塗料があげられるので、特に希望する塗料がないのであればシリコン塗料を選ぶようにするといいでしょう。
2. 塗装業者選びにこだわる
外壁塗装をできるだけ長持ちさせたいのであれば、塗装業者選びも慎重におこなうべきです。
外壁の再塗装をおこなってくれる塗装業者にはさまざまな業者がありますが、塗装の丁寧さや技術力は塗装業者によって異なります。
当然と言えば当然ですが、雑な仕事をする塗装業者よりは丁寧な仕事をする塗装業者に再塗装を依頼した方が耐用年数が長くなりますし、技術力の低い塗装業者よりも技術力が高い業者に依頼した方が外壁塗装が長持ちするようになります。
塗装業者などのリフォーム会社の選び方については以下の記事に詳しくまとめているので、そちらもぜひチェックしてみてください。
まとめ
外壁塗装の耐用年数について詳しく解説してきました。
外壁の再塗装をおこなう場合、どの塗料で再塗装をおこなうかが耐用年数に大きく関係してくるので、単価と耐用年数を比較し、できるだけ耐用年数の長い塗料を選ぶようにしてくださいね。